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池田誠の「今週の逸品」第16回 ~『週刊少年マガジン』昭和47年11月19日号

前回から『週刊少年マガジン』が「仮面ライダー」を特集した号をとりあげている。
ちなみにこの「仮面ライダー」は、広義の「仮面ライダー」を指すのではない。石森章太郎の手で描かれて初めてテレビ放映された、仮面ライダー1号、2号を主人公とするシリーズを言っている。

昭和46(1971)年、『週刊少年マガジン』はこの石森章太郎(石ノ森章太郎)の原作まんが「仮面ライダー」を連載した。これは休刊した少年誌『ぼくらマガジン』で連載していたのを引き継いだ形であるが、この連載期間中『週刊少年マガジン』は「仮面ライダー」の特集を一度も載せたことがなかった。

だが連載終了後、同誌は2度、「仮面ライダー」特集を掲載した。それがいかにも、当時大学生が読むといわれたこの雑誌らしい切り口で、ちびっこの自分は多大な衝撃を受けたものだ。
前回は1度目の特集『週刊少年マガジン』昭和47(1972)年4月9日号を扱ったが、今回はその2度目、昭和47年11月19日号について見てみよう。

 

さて、4月9日号の表紙は、ファンならずとも見ただけでおっと思う仮面ライダー怪人20連発だったが、この11月19日号はかなり違っている。中央には当時の青春スター森田健作の大顔面。ワイルドではあるが特撮ファンに訴えるものは皆無、と力をこめて断言しておきたい。

だが雑誌タイトルのすぐ下を見ると、なんと「漫画家石森章太郎テレビ映画監督に変身!」の見出し。これがこの号のグラビア記事、『週刊少年マガジン』が送る仮面ライダー特集の第2弾なのだ。

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「仮面ライダー」第84話「危うしライダー!イソギンジャガーの地獄罠」は、「仮面ライダー」新1号、ゲル・ショッカー篇の中でも、ショッカーライダー登場話に並ぶ出色の回であるが、この監督をつとめたのが「仮面ライダー」原作者の石森章太郎(石ノ森章太郎)であることはよく知られている。

もちろん当時も話題となって、この『週刊少年マガジン』同様11月3日、すなわち放映日(昭和47(1972)年11月4日)の前日に発売された『冒険王』12月号でも石森章太郎監督の特集が組まれている。だが『冒険王』の記事は1色で写真もごくわずかだったのに対し、こちらは恐ろしいほどの大充実なのだ。

表紙をめくると4色グラビア「漫画家石森章太郎テレビ映画監督に変身!」の見出しにカメラのファインダーをのぞく石森監督のすがた。さらにめくると見開きでイソギンジャガーの着ぐるみをつくる行程がこまかく紹介され、貴重なデザイン画まで映っている。次の見開きは石森監督が演技指導をしているところ。アクションやオートバイのシーンなど、藤岡弘はじめ演技陣の写真もふんだんだ。

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続く見開き2ページではヘリコプターをつかんで宙へあがる仮面ライダーと、指示する監督。石森章太郎がイソギンジャガーの触手で殺される釣り人に扮したシーンも。火薬を使った爆発シーンでは疾走するサイクロンとそれをカメラで追う石森監督。このロケのスナップや石森監督のコメントもある。全ページカラー、迫力の4色15ページである。

さてここでちょっと打ち明けるのだが、昭和から令和までいわゆる仮面ライダーいろいろある中で、自分は圧倒的な1号推しである。それも新1号推し、さらにいえば新1号でもゲル・ショッカー編がいちばん好きだ。要するに手あかがつくほどメジャーな部分が好きなのである。

旧1号編は怪奇色が強く、暗い場面が多かった。その味も捨てがたいけれど、やはり新1号のストーリーが魅力的だと思っている。ゲル・ショッカー編に入るとひとつひとつの作戦がダイナミックになり、敵の怪人もパワーアップした。また出演陣の演技がこなれてきたのも見ていて安定感があった。藤岡弘が売れっ子となり、スケジュールが過密になると出演シーンを減らさざるを得ない。それがかえって本郷猛=藤岡弘の存在感を高め、脚本も演出も、何より藤岡自身の演技も切れ味が増している。

こうした新1号、ゲル。ショッカー篇の魅力を魂にすりこまれた者にとって、『週刊少年マガジン』昭和47年11月19日号の特集は、実に真っ向勝負で刺さってくるのだ

怪人デザインからその制作、演技指導、本番撮影まで実際に見せてくれ、しかもこの回の、仮面ライダーヘリコプター宙づりシーン、爆発の上をサイクロンがジャンプするシーンは、どちらも「仮面ライダー」史上トップレベルの名シーンではないか。ここにはそのふたつながら載っているのだ!まさに「仮面ライダー」の醍醐味の凝縮だ。

ちなみにこのグラビアのすぐあとに石森章太郎の読み切り漫画「胎児の世紀」(4色扉1ページふくむ全49ページ)が掲載されている。これぞ石森まんがといえる名作で、これもまたこの号の大きな魅力のひとつである。この号は、「仮面ライダー」をふくむ石森章太郎(石ノ森章太郎)世界の妙を堪能する1冊ともいえそうだ。

 

 

 

 

 

 

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