池田誠の「今週の逸品」第19回『MJ超兵器百科(『少年ブック』昭和43年7月号ふろく)

今週の逸品は『MJ超兵器百科』、『少年ブック』昭和43年7月号ふろくである。

前回(逸品第17回「仮面ライダー少年隊手帳」)に引き続き、学校に友だちが持ってきたふろく系シリーズ第2弾としてお送りしたい。

「MJ」と書いて「マイティジャック」と読む。

「マイティジャック」は円谷プロ制作の特撮活劇ドラマだ。フジテレビ系列(とはいえ全国ネットではない)で1968(昭和43)年4月6日~6月28日まで、その後「戦え!マイティジャック」に改題されて7月6日~12月28日まで放映された。

敵は秘密組織Q。これに、二谷英明扮する当八郎以下11人のマイティジャックが挑んでゆく。特撮だが、当時ちびっこたちが馴染んでいたいわゆるヒーローは登場しない。

「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」のような巨大ヒーローも「仮面ライダー」のような等身大ヒーローもいない。怪獣や宇宙人は「戦え!マイティジャック!」に改題後ちらほら出てきたが「マイティジャック」全13回にはまったく出てこなかった。

要するに科特隊だとかウルトラ警備隊だのが、改造人間をつくらないショッカーと戦う、そんなイメージの作品なのだ。当時やはり人気だった「007」シリーズや「ナポレオンソロ」などのスパイアクションに、マイティ号などのメカをかけあわせた科学モノともいえる。

だがそもそも怪獣・宇宙人・ヒーロー、この3つが出てこない特撮など、ちびっこにとっていったい何の意味があろうか。国際問題や人権問題がからんだストーリーは複雑でむずかしかった。ただマイティ号やピブリダーといった登場メカはかっこよかった。

さてこの『MJ超兵器百科』 は当時の『少年ブック』1968(昭和43)年7月号のふろくである。小学一年生のとき、「ワカさん」と呼ばれる友だちが学校に持ってきたのがこのふろくだった。

自分の住んでいた静岡では、「マイティジャック」は通常の本放送の時期に放映されていない。雑誌では小学館の『週刊少年サンデー』や学年誌(『小学一年生』~『小学五年生』)、集英社の『少年ブック』に掲載されており、自分は父が毎月買ってきてくれる『小学一年生』でその存在をいちおう認識していた。

ただ、はっきり覚えているのは、自分たちが「ウルトラセブン」を掲載する『ぼくら』や「怪物くん」を載せている『少年画報』に夢中だったころ、「ワカさん」は『少年ブック』を毎号買っていた。買う雑誌の違いは大きいのだ。丸顔のワカさんはちょっと変わり種で、自分たちの知らない情報をいろいろ喋っていた。そしてそのときも『少年ブック』のふろく「MJ超兵器百科」を学校にもってきた。

自分は一目見てこれは乙なものであると認識した。

なんだかわからないが兵器がじゃんじゃん出ている。一見しただけでは空想のものと本当のものと区別がつかない。

とにかく別世界のようで羨ましく、前回同様このときも本屋に走ったが、やはり買えなかった。

148×105×8mmというミニサイズ

 

それから四十年以上経った。或る時、ヤフーオークションで小型の別冊付録、それも図鑑や事典のたぐいばかりを十何冊もまとめたものが出ていたので、何の気なしに落札した。その中にぼろぼろの状態のこの『MJ超兵器百科』が入っていた。まったく予想もしてないことで、嬉しくて涙が出てきた。

上下左右からの写真は珍しい

 

表紙と裏表紙以外はオール1色ながらすごい情報量だ。トップは当然「MJ号」。前から真横から上から下から写した写真入りで、その性能がことこまかに解説されている。

次に「ハイドロジェット」「ジブリ1号」とマイティジャックのメカが続いたのち、「Qの巨鯨潜水母艦」「Qの小型潜水艦」と敵のメカを写真入りで解説。

このあとは他の作品で登場したメカや、現実に存在する「海の兵器」「空の超兵器」。「ロッキードYF-12A」を始めとし、当時のメカが登場し、以下各国の兵器が紹介されたあと「ピプリダー」「エキゾスカウト」「バギー」といった「マイティジャック」に登場するメカが解説されている。またその直後には「ジェット・コプター」・・・「007」でお目にかかったやつだ。「陸の兵器」「みな殺し兵器」「破かい兵器」、この辺は単なる兵器図鑑になっている。

この手のミニ図鑑は数々見てきたが、ポケットに入るサイズで、これほどのメカや兵器と詳しい説明をつめこんだ充実度はまれである。

ちなみにこの『MJ超兵器百科』もそのあと綺麗な状態のものを2,3冊手に入れた。最初のぼろぼろの状態のは手近なところに置いて何かの折に眺めていたが、2011年3.11の震災で倒れた本棚の下になった。本棚は立て直したが、その後姿をみていない。

 

 

 

 

 

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