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池田誠 / 冒険王

池田誠 / プロフィール

池田誠 1961年静岡県生まれ。 小学生時代、雑誌「冒険王」、仮面ライダーカード、裏のみかん山での仮面ライダーごっこに熱中する。 大学、大学院で国文学を専攻。現在、複数の予備校で国語科講師として教鞭をとるかたわら、特撮ものの研究およびライター業をいとなむ。 「ロボット&ヒーローCOMIXスーパーガイド」(白夜書房)「学園マンガ読本」(宝島社)「少年画報大全」(少年画報社)「ぼくらのヒーロー伝説」( […]

池田誠 / 冒険王 ①

  別冊「冒険王」1972年秋季号   池田さんが1971年以降の「冒険王」を集める上で、最後の一冊だったのが、この別冊1972年秋季号だった。 池田さんは語る。 「確か2000年か2001年、まんだらけのオークションにこの号が出されたんです。それまでそのオークションで、72年秋季号が出たのを見たことがなかった」 「それでどうされました?」とわたしは訊いた。 「とりあえず20万 […]

池田誠 / 冒険王②

「冒険王」は、1949年~83年(「TVアニメマガジン」と改題して84年まで)、秋田書店から発行された少年雑誌である。テレビの特撮やアニメの世界を柱とし、それらをマンガ化した作品をふんだんにとりあげた。通常の月刊誌のほか、年4回の別冊号(春季・夏季・秋季・冬季)(66年~74年)、年2回の増刊号(夏休み号とお正月号)を出していた。   この別冊「冒険王」1972年秋季号の完本を、池田さん […]

池田誠 / 冒険王③

別冊「冒険王」72年秋季号。 これが運命の一期一会。覚悟を決めてまんだらけオークションに臨んだ池田さんの執念は、おそらくその後の「冒険王」市場に飛び火した。   池田さんは語る。   「そのときまで「冒険王」にそんな派手な高値がつくことはなかったんだよ。でもそれがきっかけになったのか、そのあと同じまんだらけのオークションで、V3特集の「冒険王」73年夏休み増刊号がいきなり46万 […]

池田誠 / 冒険王④

「別冊冒険王秋季号についてですが、そもそも秋季号そのものが、あまり市場に出てこないのです」と池田さんは言った。   「年2回の増刊号は、なんだかんだ言って市場に出まわります。夏休み号は8月中旬の発売だから、ちびっこはお盆で田舎に帰って、おじいちゃんおばあちゃんに買ってもらう。お正月号は、発売は12月中旬だけど1月まで売っていて、これはたいていお年玉で買うことができました。 この別冊冒険王 […]

池田誠 / 冒険王⑤

「それではこの号の巻頭から見てみましょう」   そう言って池田さんは別冊「冒険王」72年秋季号を大事そうにひらいた。   ①デビルマン絵はがき ②口絵ポスター おもてにサンダーマスク、裏に「映画怪獣大行進」(ゴジラ、ガメラ、ギララなど) ③テレビ怪人カラーカード(8ページ) (仮面ライダー、超人バロム1、快傑ライオン丸、変身忍者嵐、計4枚) ④テレビ特報 (ライオン丸(7ページ […]

池田誠 / 冒険王⑥

「では次に、掲載されているマンガを見てゆきましょう」   超人バロム1(古城武司 原作さいとう・たかを) 仮面ライダー(すがやみつる 原作石森章太郎) デビルマン(蛭田充とダイナミックプロ 原作永井豪) サンダーマスク(長谷川猛とひろみプロ 原案上原正三) 変身忍者嵐(石川賢とダイナミックプロ 原作石森章太郎) アストロガンガー(浅井まさのぶ) 快傑ライオン丸(一峰大二 原作うしおそうじ […]

池田誠 / 冒険王⑦

72年秋季号の収録マンガについて、池田さんはさらに言葉を続けた。   「「超人バロム1」は、2007年、「完全版」と銘打って、単行本未収録回をおさめた本が出版されました。しかしながらたったひとつだけ、この完全版に漏れたストーリーがある。それがこの72年別冊冒険王秋季号の回なんです」   「へえ、じゃあなおさらこの号は貴重じゃないですか」   わたしがそう言うと、池田さ […]

池田誠 / 冒険王⑧

そもそも「冒険王」は、「イガグリくん」「ゼロ戦レッド」というような、オリジナル漫画に定評ある少年雑誌だったのだそうだ。 おそらくそれゆえにこそ、かつて彼らは一度、時代の波に乗り遅れた。   池田さんは語る。 「1960年代後半、テレビにおける第一次特撮ブームが訪れるんです。そのころ他の少年月刊誌はどうだったか。 たとえば「ぼくら」は、「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」と立て […]

池田誠 / 冒険王 ⑨

1960年代末、テレビの第1次特撮ブームは終息した。 ほぼ同時期の1968年、月刊誌「少年」休刊。1969年、月刊誌「少年ブック」休刊。 代わって68年、週刊誌「少年ジャンプ」創刊。69年、週刊誌「少年チャンピオン」創刊。その69年、月刊誌「ぼくら」は週刊誌「ぼくらマガジン」となり、月刊だった「少年画報」も隔週刊化された。   「要するに少年月刊雑誌は、相次いで休刊し、どれもが週刊の波に […]

池田誠 / 冒険王 ⑩

1971年、第二次特撮ブームが始まった。 翌1972年、それは最高の高まりを見せる。   池田さんは語る。 「1971年は「帰ってきたウルトラマン」「仮面ライダー」「スペクトルマン」(「宇宙猿人ゴリ」「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」と3段階で改題)だったのが、1972年には急激に増え、また子供向けヒーローアニメも数々放映されるようになりました」   1971年初頭、「冒険王」は […]

池田誠 / 冒険王 ⑪

「とにかくこの号には、無駄なページがひとつもないのです」   池田さんは熱弁をふるった。   「まず全体を見渡して「特写」というものが見あたらない。「特写」とは、制作側が宣伝のため撮影会にカメラマンを呼んで撮らせた写真のことで、「テレビマガジン」などはしばしばこういうのを使う。だがこの号のカラーグラビアは、すべてカメラマンが実際の撮影現場に出向いて撮ってきたものです。正直いって […]

池田誠 / 冒険王⑫

この72年別冊秋季号は、いろいろな次元において、まさしくターニングポイントに当たっていた。   「たとえばこの号で、初めて表紙のタイトル「別冊冒険王」の下に「映画テレビマガジン」という副題がつくようになります」と池田さんは言う。   「以後この副題は継続し、翌73年6月号からは副題のほうが「別冊冒険王」というタイトルの文字より大きくなります。そうしてこれ以降、この雑誌は「別冊冒 […]

池田誠 / 冒険王 ⑬

池田さんとわたしは、別冊冒険王72年秋季号の表紙をつらつら眺めた。     目立つピンク色の地に、仮面ライダー、サンダーマスク、変身忍者嵐、快傑ライオン丸、超人バロム・1が居る。小さくゴジラやデビルマンの顔もみえる。ヒーローたちをこれでもかというほど詰め込んだ、絢爛豪華な表紙だった。   「いかにも冒険王らしい、ごちゃっとした感じでしょう」池田さんは嬉しそうに言った。 […]

池田誠 / 冒険王⑭

「にもかかわらず!」と池田さんは声をあげた。 「ぼくは!当時!子供時代!この本の存在すら知らなかったんですよ!」   「へえ、子供の頃持ってたわけじゃないんですか」と言うと、池田さんは悲痛な表情になった。   「そうなんだよォ。ぼくはちょうど仮面ライダーカードにいちばん力を入れていた時期だったから、臨時収入がなければ雑誌は月刊誌を買うだけで精一杯だったの!」 「ああ、暗黒の10 […]

池田誠 / 冒険王 ⑮

要するに、池田さんは大人になってこの号と出会った。   池田さんは語る。 「ぼくは当時、この本のことを何も知らなかった。この号がかつて本屋に並び、自分の知らない内に消えていっていたかと思うと、何ともいえない気持ちになるんです」 「これを見ると当時の自分が生きていた空気をそのまま思い出す。この号はそれを感じさせるパワーがみなぎっている」   「大人になって出会ったのに?」とわたし […]