Mr.AE / ホットホイール⑭

ホットホイールのサイドライン、「シズラー」は、マテルが1970年売り出したシリーズだ。
外からの動力では物足りない、車は自分で走ってほしいという願望を実現したものらしいが、とにかくすごい勢いですっ飛んでゆくのだという。

AEさんは言う。
「ホットホイールは回転するスポンジ、つまり外部動力で加速するんですが、シズラーはニッカド電池とモーターを積んで、自力で走れっていうタイプ。これがクレイジーなスピードで、全然強度考えてねえだろうって設計で、コース外れてどっかつっこむとぶっこわれる」

 やっぱりマテル、考えることが車バカ、Aさんは満足そうに言った。

しかし当時モノのシズラーは、そのままでは動かない。ニッカド電池が経年劣化で腐食するからだ。それを走れるよう直して売っている、いわゆるリペア屋がいるという。
「すごい便利なサービスでしかも安い。でもアメリカの人は他人の手が入ったのは好まない。どんなに綺麗に直されていても、当時のままのボロボロのモノのほうを欲しがるんですよね」とAEさんは言う。
「どちらが正しいということじゃない。それがマニアの心意気だから。でもリペア屋の人たちのことはとても好きです。かれらは自分の責任で自分の車を走らせる。誰かに責任を問わない。この車がいけないのはオレのせいだ、だから走れるように治すのだ、って。そういうスピリットが好き」

リペア屋は、売れる売れないじゃなくおもちゃのリメイクがホントに好きという人らしい。
  アメリカでホットホイールをやってる人に悪い人間はいない、とAEさんは断言する。
「みんなホントに好きでやっている。だからあったかいんですよ」

 AEさんの愛するアニメの中のセリフのように。
「クールじゃない、ホットなんだ!ホットホイールだ!」