Mr.AE / ホットホイール⑬

あれはAEさんが奇跡的に「バイフォーカルのブリスターパック入り」を手に入れて、うかれていた時のこと。

横浜のミニカー屋さんから、ラリーが今度来日するよ、という情報が入った。来月、横浜で車とミニカーの祭典があり、そこへラリー・ウッドが来るというのだ。
ラリーといえば、ホットホイールの誇るデザイナーだ。
お気に入りのホットホイールを眺めてうっとりする生活に満足していたAEさんだったが、これをデザインしたのはいったいどんな人たちなのか、考えるときもあった。
一度、ぜひ本物にお会いしたい。いや、会わねばならんだろう、会ってお礼を言いたいのだ。
これは絶対行かねばならない。

当日、AEさんはサインの列に並んだ。
本当は会場限定の品を買ってそれにサインをもらうのだが、秘蔵の品にサインが欲しくてこっそり準備していた。
順番が来た時、ハロー!と叫んで、そっちのほうをそっと差し出した。

ラリーはひとめ見て「It’s old casting!」と叫んで目を見開き、破顔一笑した。
「なんで日本にコレが残ってるんだ? お前のか?!」
めちゃくちゃ嬉しそう、そしてどこか懐かしそうだった。。

「あなたの仕事でこれが一番好きだ。コイツを作ってくれて本当にありがとう」


これがラリーにサインしてもらったバイフォーカル。
AEさんがブリスター現品を差し出したので、マジックを握ったラリーは一瞬躊躇したそうだ。
なんでもアメリカでは普通、現品に直接サインすることはなくて、プロテクターの外側からサインするんだって?
いやOKOK、ラリー、あなたのサインを現物にしてほしいんだ。
AEさんはそう説得し、書いてもらった。