Mr.AE / ホットホイール⑥

取材の日、AEさんは、持ってきたホットホイールを裏返して見せてくれた。

「この車種は結構初期のものなんですが、ここ、見えますかね。タイヤのところにピアノ線が入っているでしょう。これ最高の解像度で撮ってください。四角い穴の中のピアノ線が写ると嬉しいな」

裏返した車のシャーシに空いた穴の向こう側、白い腱のようなピアノ線が覗いている。


「1軸に1個のタイヤが付いて、四輪それぞれサスペンション機能が働く、これホントの車と同じ。あとこわくて分解したことがないけど、これ、ホイール部分が軸から外せるんですよ」
・・・なるほど、分解改造できるんですか。
「そしてこれが一番強調したいところなんですが・・・」
AEさんはホットホイールをテーブルに降ろして、ルーフに人差し指を当ててからそうっと押し下げた。
「沈むでしょう、ほら。」
AEさんが押すと、その車がゆっくりと沈んでまた戻るのが、傍目にもあきらかに見えた。

「さらに一輪一輪を押しても、それぞれがバラバラに沈むのです」
・・・おお、これが先程の四輪独立なんとかなんですね。
「ただしこの後少ししてから発売される車種では、この機構は割愛されてしまう。同じレッドラインタイヤでも、トミカみたいに1軸に2つのタイヤが繋がって、ポリ製の板でサスペンション機能を設ける形になる。さらに後になると、サスペンション機能がオミットされちゃう。コスト削減とは言え、これはちょっと哀しいですね」

AEさんはホントに哀しそうな表情になった。