キンキーズ・田中康隆 / カード類(カルビー他)⑭

「ああ、いま思い出しました」
田中さんは不意に言った。

「お客さんが集め終わったら、自分が集められると思ってた。みんな終わったら自分が・・・。だから早く終わってくれと思ってました」

お客さんに押し切られて自分のコレクションを売らざるを得なかったという話をしたときも、田中さんはこう言っていた。
「どんだけ入れたら満足するんや。さっさとやめたかった。やめさしてと思っていた」

その田中さんに、そばにいた常連さんが口を挟んだ。
「いや、その先が見つかっちゃったから、終わらない」

1万枚はラフです、と言ったお客さんだった。

「一生終わらないですよ。終わりたくない」

すでに産地と色違いというフィールドが広がっていた。
よそならただのカスカード。でも全く同じ色がない何百枚何千枚の世界で、まだ見たことのない色を求めている。

終わらせたくない。

終わりたくない。

ずっとカードをさわっていたい。

ここまで聞いていてわたしは思わず涙が出てしまった。

みんな、終わらせないようにしているのだ。

永遠に暮れない夏の日を生きている。

何よりも田中さんその人がそれを生きようとしている、とわたしは思った。