キンキーズ・田中康隆/ カード類(カルビー他)⑥

そこへちょうどお客さんがふたり来店した。

年かさの男性と少し若い男性と、どちらも相当な常連さんらしく、もの慣れていて風格があった。

「まんだらけさんでバイトしてはる」と田中さんがわたしを紹介すると、常連さんのひとりが言った。

「今までまんだらけはお正月とかに、どかんとカードを売り出すときがあったんですよ。それが3年前あたりからなくなった。どうしてですかね」

・・・ええ? わたし、末端だから全然わからないです。サーラにあるのかなあ。

サーラはまんだらけが千葉につくった巨大倉庫だ。

「あれを楽しみにしてた人が多いんですよ。まんだらけに、カードをがんがん出してくれるよう言ってください」

そうそう、ともうひとりのお客さんも相槌を打つ。
わたしはちらっと田中さんを見た。なんと田中さんも、そうそう、とうなずいているではないか。
「そうですよ、まんだらけさんにカードを出してくれと言って下さい」

そんなあ・・、とわたしは困ってしまう。

田中さんは語る。

「二、三年の間、仮面ライダーカードがちっとも入ってこなくなった時期がありました。そのあとは突然、毎日のように入り出して。波が激しすぎて、どうなってるのかわかりません」

この店と歩みを共にして、浮沈も共有してきている常連さんが、そばで苦労話を聞いている。

キンキーズのホームページには次のように書いてある。

「カードにこだわって17年
70年代のカルビー仮面ライダーカード、カルビープロ野球カード、さらに買い取りNo.1宣言!!!」

そして、探索中の仮面ライダーラッキーカードの番号と買い取り価格が列挙される。No.255のS(極美状態)120万円を始め、さすが老舗、迫力の高額が並ぶ。

ホームページ内には、この店に通う仮面ライダーカードコレクターたちの、白銀の絶峰にいどむような鬼気迫る試みも書かれている。

「エラーカード(深い!!)ラッキーカード(コンプリート不可能!!!・・・)記号の完全コンプリート(達成者ゼロ!と思います)さらにその記号のヴァリエーション違い!!超極美コンディションでナインポケット9枚づつ!!あげくに同じ番号でファイル1冊!!・・・とても終りがあるとは思えないすさまじい境地へと突っ走っておられます。頭が下がります」

その、すさまじい境地へ突っ走る客たちに、キンキーズは常に伴走してきた。
この店のお客さんは長年のつきあいが多い。最初からの客がずっと続くのだという。