キンキーズ・田中康隆/ カード類(カルビー他)④

客は殺到した。

田中さんの期待とは逆に、「買ってくれ」ではなく「売ってくれ」の客だった。

 

客はどんどん値をつり上げた。
幾ら幾ら出すからあれを売ってくれ。
買い取りの値を上げれば上げるほど、客はますます殺到した。

 

「関西にはそういう店がなかったので」
田中さんは当時の狂乱状態を追憶し、遠い目になった。

 

・・・これは出したくなかったという痛恨の1枚とか、あるでしょう?
わたしは訊いた。
「痛恨の100枚、いや数え切れませんねえ」と田中さんはぼやいた。
「コレクションを切れと言われて、泣く泣く切りました」
ずっと大事にしていたコレクションもその波に飲まれて消えていった。押し寄せる客たちの怒濤の勢いに、にっちもさっちもいかなかったと見える。

 

「当時はお客さんに、要らなくなったら言って下さい、こっちに何か譲って下さいと言っていました」