池田誠 / 冒険王⑭

「にもかかわらず!」と池田さんは声をあげた。
「ぼくは!当時!子供時代!この本の存在すら知らなかったんですよ!」

 

「へえ、子供の頃持ってたわけじゃないんですか」と言うと、池田さんは悲痛な表情になった。

 

「そうなんだよォ。ぼくはちょうど仮面ライダーカードにいちばん力を入れていた時期だったから、臨時収入がなければ雑誌は月刊誌を買うだけで精一杯だったの!」
「ああ、暗黒の10月発売ですね」
それでせちがらい懐事情を綿々と話していたのか。
「ホントそうなんだよ。ぼく以外にも買えないちびっこが多かったんじゃないかなあ。発行部数も少なかったと思うよ。これはぼくたちが知らない内にひっそりと本屋から消えていっていた号なんです」

 
池田さんは大事そうに72年秋季号を撫でた。