堤哲哉 / 仮面ライダーカード①

2016年9月

久しぶりに会った堤さんはずいぶん痩せていた。入院、手術の話は聞いていたが、大病から生還した人という様子を漂わせている。
三連休の中日で人出はすごい。しかも雨天。雨が降ると手術痕がひっつれるような感じがするらしく、堤さんは始終胸元をさすっていた。
・・・本日はご足労いただいて、すみません。
「いえ、もう三ヶ月も経ってるんでね。家にばかりひきこもっていたからそろそろ外に出なくちゃ。きょうはリハビリを兼ねていい機会です」
堤さんはシャツをずらして傷跡をみせてくれた。
・・・あ、ちょっと仮面ライダーみたい。
「そう、ほんと○○人間ですよ~」

わたしたちは東口の地下にある喫茶店に落ち着いた。
堤さんはあたたかいミルクティーを注文し、ほっとした顔をみせた。
「まずは正統中の正統をということで、持ってきました」
堤さんはテーブルの上にカードの入った透明ケースを置いた。
「14局の46番」

宙返りする仮面ライダー。
空は曇天のようにくすみ、身をひねったライダーの顔は撮影の角度でよく見えない。
これが最後の最後まで出てこなかったという幻のカードなのだ。

裏面を返すとこのように書かれている。

「46
ラッキーカード
このカードを下記の所へお送り下さい。仮面ライダーカードを入れるアルバムをお送りいたします。
〒321ー31 宇都宮市平出工業団地 カルビー製菓 ライダー係

仮面ライダーのひみつ
人間の10倍のつよさの人工筋肉。じどう車もひとけりのライダーフット」

14局に属するライダーカードは初版で1~60番まである。かつてカードマニアの間では、その中の46番が出てこないのは周知の事実だった。誰もがこれを探していたが見つからなかった。あまりに出てこないので、もしかしたら存在しないのではないかとまで言われていた。
だが堤さんはそのとき推理していた。
まだ見ぬ14局46番は、きっとラッキーカードなのだろう、と。