高橋さって / 聖闘士聖衣大系⑫

さってさんは言う。

 

「いま、モノを所有する楽しさが薄れてきている気がするんですよねえ。
みんなネットで値段を手軽に調べて、こっちが安い、あっちが高い、って情報で動くでしょう。安いか高いか、そういう情報ばかりが先行している」「これはレアですよ、価値がありますよ、はあるけれど、これは良いモノですよが少ない。モノが好きなんじゃなくてお金が好きなんでしょうか。昔はモノを持っていると、ただもう嬉しかった。でもいまはみんな手に入れては売ろうとする。モノを持ってるのが不安なんでしょうかねえ」

 

セイントクロスをどうして推そうと思ったのかというわたしの問いに、さってさんは結局最後まではっきりした答えを言わなかった。  要するに、理由といえる理由はなかった。ただとにかく一目見てすごいと思った。見た瞬間から好きだった。中古市場で誰も見向きもしない時期でも、その気持ちはずっと変わらなかった。価値を信じて譲らなかった。

「いいモノですよ、これは高いですよ、まけませんよ。そうやって高値をつけて、みんなに馬鹿だと言われながら息を止めて我慢していました」

売れなかったらずっと我慢していただろう。

思うに、あの言葉「メッキは子供のおもちゃには必須です」、たぶんあれは、さってさんの内なるちびっこが発した言葉だったのだ。
そのちびっこが、セイントクロスというぴかぴか光る玩具に、問答無用で惹きつけられた。大人のさってさんは、それを一生懸命集め揃えて、高値をつけた。
それは魂の値段だった。