高橋さって / 聖闘士聖衣大系 ⑪

わたしはどうしても、ひとつ訊いておきたいことがあった。

・・・さってさんはどうしてセイントクロスをそんなに早くから推したんですか?

結果的に「フィギュア帝国2」が当たったからよかったものの、クロスにいち早くプレミアをつけて売るさってさんは、当初は馬鹿だとたたかれ、値上がりしたらしたで、うまくやったなと、くさされた。

 

「うーん、良いものなのはわかってましたからねえ、売れないはずがないと思ったんですよ~」
・・・でも売れなかったら?
「自分の好きなものが認められないわけがない。もし売れないなら死ねばいい。そう思ったです」
いつも柔和なさってさんが、思いがけないほど強い言葉を口にした。

 

当時、古物市場で、聖闘士星矢大系に関心を示す者は皆無だった。遠い過去の品ならまだしも、なまじ近い過去だから、ひどく中途半端で宙ぶらりんだった。
よその店ではせいぜい1000円。こまかい部品が幾つも欠け、パーツを繋ぐランナーが切れている、クロスはそんな状態で無造作に投げ売りされていた。そもそもそこまで完全にという意識自体が定着していなかった。

 

さってさんはそれらを片っ端から買い集めた。欠けた部品は補い、ランナーの切れも厳しく点検し、完璧に揃えて高値をつけた。新品なら1万円を譲らなかった。
「売れなかったじゃない、売らなかったです」
安けりゃゆるさんと言う構えだった。こんなに良いモノが価値のないはずはない。そう言って、セイントクロスが評価されない世界を容認しなかった。何年間もそれを続け、気が狂っていると人に言われた。