高橋さって / 聖闘士聖衣大系⑥

当時、白夜書房の田村さんという名物編集長のもとで、えむぱい屋は「フィギュア帝国」「フィギュア帝国2」「まんが帝国」「ビンテージジャパン」と次々に本づくりに参画していた。
「フィギュア帝国」は、雑誌「フィギュア王」や「ハイパーホビー」が新商品の掲載をメインとしていたことから、レトロ系で行こうとの掛け声だったという。

 

これでもかとばかりにおもちゃの写真をつめこんだページをめくりながら、わたしは不思議な感慨にとらわれていた。
ここには網羅することへの一貫した執念がある。
この膨大なおもちゃや資料の多くはえむぱい屋がもちこみ、撮影と解説をほどこしたものらしい。
「だからタイトルが「○○帝国」なんです」
・・・ひゃ、このタイトルって、えむぱい屋から来てるんですか?
「われわれ、1号の途中から参加して、最初は別のタイトルが考えられていたそうですが、気がついたらこれになってたです」
なんとまあ。    わたしは絶句した。
「ちなみにこれは田村さんの趣味です」
さってさんは表紙の赤いマジンガーZもどきを指さした。
ぱっちなマジンガーは土俗的な怪奇風味を漂わせ、夜の神社あたりで人でも襲いそうに見える。
「雑誌のオリジナルキャラをつくるという狙いはよかったんですが、発想がちょっと早すぎました。「まんが帝国」もマンガーマスクってオリジナルキャラを出しまして~」
・・・マンガーマスク?
「はいはい~、やりすぎて転覆しました」
・・・おおう。

 

ともかくもセイントクロスシリーズの全貌は、この「フィギュア帝国2」で初めて紹介された。後発の玩具への影響も含め、クロスのパワーと位置づけが可視化されたのだった。
このとき1998年。「聖闘士星矢」はアニメ化もされ、息の長い人気作品ではあったが、発表されて既に10年以上を経過し、ブームそのものは沈静化していた。
だがこの本が、中古のセイントクロス市場に火を点ける。