Mr.H/蒐集家⑫

 Hさんの身には災難もふんだんに降りかかった。

日常の些細なトラブルは災難ではない。高額のニセをつかんだことさえ勘定には入らない。

 だが、お宝が水没したことが2回ある。

家の横の川が氾濫し、原画が被害にあった。「うる星やつら」のラムやしのぶの絵コンテもまるまる1冊分ダメになった。二度目のときはセル画がやられた。まんだらけで二十万で買った旧ルパンの不二子のセル画がぐしゃぐしゃになった。

 火事にも遭った。

「俺、古い家電にもハマってた時期があるんだよ。そのTVラジオから出火してさあ」

 そのぼやでお宝の三分の一くらいが焼けた。持ってる人を拝み倒して50万円で買った妖怪人間ベムの指人形が溶けた。交換で手に入れた店頭用のマジンガーZもマシンガンも燃えてパーになった。 

 盗難の憂き目もみた。弟子といって出入りしていた友人がお宝を盗み出して売っていた。倉庫の壁をぶち抜かれてモノを持ってゆかれたこともある。 

 破局も経験している。実はHさんは結構モテるのだ。だがこれは災難ではない。「私とおもちゃとどっちを選ぶの?」とド直球を投げた彼女も彼女だったし、「おもちゃ」と即答したHさんもHさんだった。

(画像はまんだらけ・変や)