Mr.H/ 蒐集家④

当時、1980年代後半、おもちゃ屋のメッカは下北沢だった。高田馬場のねずみ小僧が下北沢へ移転し、ヒーローズと改名する。スチャラカ商会(オムライス)、おもちゃ天国2丁目3番地、懐かし屋。Hさんは青山のビリケン商会へ行った後、下北沢に移動して古いプラモデルをあさっ た。記憶に残る初買物は、2丁目3番地でのV3号2,000円。Hさんが子供の頃からなじんでいたプラモはブルマァクとイマイだった。だが月刊「ホビージャパン」の或る連載が、Hさんに大きな衝撃を与えていた。
「Antique Kits Selection」は1983~85年、「月刊ホビージャパン」誌上に小田雅弘氏が連載していた人気コーナーである。
1984年1月号、この「Antique Kits Selection」第13回は、マルサン/マルザン電動大怪獣の特集だった。福島のコレクター西村祐次氏の全面的資料提供のもと、鮮烈な怪獣プラモが続々とカラーページに登場した。ここにマルサンという未知の世界が広がっていた。「なんじゃこれは。ビビビッと来た。こんなの見たことねえぞ。こんなものがあるのか」
マルサンの電動怪獣なる大問題にHさんはとり憑かれる。だが電動怪獣は当時でも高額で、若者が容易に手を出せるものではなかった。自分でまわれ、出てくるから。そう言ってくれたのは確かビリケン商会だった。その助言を受けてHさんは、地方のおもちゃ屋をしらみつぶしにまわりはじめた。

(画像は、まんだらけ・変や)