Mr.H/ 蒐集家②

Hさんは1967年、堅実な両親のもとに長男として生まれた。マニアっ気は微塵もない家庭だったが、Hさんは駄菓子屋の世界に生来惹かれる癖があった。1972年、このちびっこが初めて人生上の大問題に突き当たる。
1972年はすさまじい年だった。 前年末、仮面ライダースナック発売。人生初の大問題はおまけのカードだった。全国のちびっこにとって駄菓子屋戦国時代の幕開けであったこの時期、Hさんは痛恨の5歳。世界は弱肉強食であった。もっと上の年齢の子がどんどんカードを買ってゆく。小さなHさんはちょびちょび買った。

再び大問題が起きる。 ポピニカ。そして1974年、初の超合金「マジンガーZ」発売。  

仮面ライダーカード、超合金、ポピニカ。もはやちびっこの手に負える事態ではなかった。

ここでおばあちゃんが威力を発揮する。おばあちゃんは孫に大甘で、ねだれば高いおもちゃも買ってくれたのだ。Hさんは得意満面、買ってもらったおもちゃを棚に飾った。
「おやじが見て、なんでこんなものを持ってるって怒ってさあ。そうなるとおばあちゃんも買い控えだよ」
事は仮面ライダーカードでも同じだった。Hさんはおばあちゃんに頼み込み、仮面ライダーV3カードで念願の箱買いを果たしたが、例によってお父さんに発見された。
「カードを束で持ってたらおやじに怒られて」
おばあちゃん投入、お父さんにばれて叱られる。幼児にして問題山積、Hさんの波乱の人生はここにスタートした。