星まこと / アニメ探究 ⑫

「あの当時の子供はみんな思ってましたよね。『妖怪人間ベム』や『黄金バット』の、なんともえたいのしれないあの雰囲気は何なんだろうって。
そう、たとえば『ゲゲゲの鬼太郎』は妖怪モノだけど明るい。でも『ベム』や『黄金バット』は、無国籍感がさらに凝縮されてるっていうか。灰色の空、日の当たらない洋館の雰囲気。青空なのにくすんでる感じがした。

森川信英さんは十代の頃にお父様を亡くされて、独学で学ばれてアニメーターをやってらした方なんですけど、当時コピーがまだものすごく高価な時代、ご自分でこういう教則本を作ったんです」

「そうしてひとり韓国に行って、これでアニメを指導したんですね。口の動かし方、タイムシートの描き方、黄金バットが戦うところ、セルのカラーチャートも自分でつくって、それを配ってアニメの作り方を一から指導した。独学で、全部自分で資料を集めて、何もないところから韓国でこういうことをやってた。
ぼくが『妖怪人間ベム』っていう作品にハマったのは、なんかこれ不思議な世界だなあと思ったからなんですけど、森川さんの話を聞いて、そうか、あの雰囲気は、韓国だったのかって。いくら日本で美術ボードを描いてもああなっちゃう。それは森川さんが向こうにひとりで行って、ああやって現地のスタッフと作ってたからなんだってわかった」