星まこと / アニメ探究 ⑪

「たとえばテレビの特撮は、映画が斜陽になって、食いつめた映画マンたちがみんなで作ったって経緯がある。アニメも同じで、紙芝居が駄目になったから来たとか、赤本マンガが駄目になったからとか、劇画も斜陽になってきたからとか、絵が描けるというそれだけの思いでアニメの世界に入った人たちがいっぱいいる。批判もあるけど、アニメーターというものをひとつの職業にした手塚さんの功績は大きい。
ぼくが惹かれるのは、このアニメーターの人たちが、毎日毎日絵を描いて、それこそ鉛筆一本で奥さんと子供を養って、子供を大学に入れたりした。ちゃんと生活者として生計を立てながら作品をつくってきた、そういう人たちに、ものすごくリスペクトがある。

一昔前、記者が取材対象者に話を聞きに行くときは、大宅壮一文庫に行ってその相手の記事をひととおり調べてから行くのが基本だった。でもこの人たち、そういう記録がありますか?無いですね。手がかりはというとその人の作品歴しかない。

作品歴は心の中に入っている。感動とかその当時受けた印象とか、そこに仕事で得たスキルも加わるんだけど、とにかくそういうファン目線で聞きに行く。まあかなりこじらしてますけど。
それで、自分が受け取ってきたものが本当にそうなのか、それを訊くんです。その人が作ってるものがぼくらのところに、フィルムやブラウン管を通して、薄められて、来ている。でもその中に本質となっているものがあるはずだ。その本質が何なのかということに興味がある。実際に会って、ぼくが受け取ったのはこうです、とお話しする。そうですね、それで違ってると言われたことは一度もないです」