星まこと / プロフィール

星まこと

プロフィール

1964年福岡県生まれ。
マンガ・アニメ探究者。
幼少期より本やマンガ、アニメに親しむ。1977年『宇宙戦艦ヤマト』の劇場公開前後から起きた「アニメブーム」の洗礼を浴び、よりアニメに耽溺するようになる。その後、雑誌や書籍など出版物の編集を経て、会社勤めの傍ら各誌に寄稿。子どもの頃からのライフワークである、マンガやアニメの探求活動を継続中。
マンガ家やアニメ関係者との親交も広く、個展やイベントなどの企画運営、DVD企画構成のアドバイザーやマンガ復刻企画、WEBサイトへの執筆など活動も多岐にわたる。編著に、御園まこと名義の『図説テレビアニメ全書』(原書房)。解説に『世界の子どもたちに夢を』(但馬オサム著 メディアックス)、『アニメプロデューサー鷺巣政安』(鷺巣政安・但馬オサム共著 ぶんか社)、インタビューに『小松原一男 アニメーション画集』(東急エージェンシー出版部)、マンガシナリオに『あめんぼうの詩』(金山明博著)など。2018年、1999年から『まんだらけZENBU』に連載中のインタビューをまとめた『伝説のアニメ職人(クリエーター)たち』第1巻を上梓。
ブログ「アニメに感謝」も継続中。
animenikansya.blog.fc2.com

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2018年5月、星まこと編著『伝説のアニメ職人(クリエーター)たち』(まんだらけ出版)が刊行された。アニメの作り手たちへのインタビューをまとめた一冊で、1999年からまんだらけのカタログ(「まんだらけZENBU」)に連載されているコーナーを単行本化したものである。

今回収録された作り手たちを目次順に記す。草創期から現在の隆盛に至るジャパニーズアニメの背骨をつくってきた名前が並ぶ。もちろんこれは19年にわたるインタビューの内、ごく一部に過ぎない。

・大工原章:『白蛇伝』『少年猿飛佐助』『安寿と厨子王丸』『西遊記』原画
・森川信英:『黄金バット』動画監督、『妖怪人間ベム』作画監督、『まんが日本昔ばなし』作画。演出
・うしおそうじ(鷺巣富雄):『0戦はやと』『ハリスの旋風』『ドンキッコ』『ちびっこ怪獣ヤダモン』制作、ピープロ代表取締役社長
・石黒昇:『鉄腕アトム』原画・演出、『宇宙戦艦ヤマト』アニメーションディレクター、『超時空マクロス』監督、『メガゾーン23』原作・監督、『銀河英雄伝説』総監督
・荒木伸吾:『巨人の星』原画、『バビル二世』キャラクターデザイン・作画監督、『魔女っ子メグちゃん』キャラクターデザイン・作画監督、『ベルサイユのばら』キャラクターデザイン・作画監督、『聖闘士星矢』キャラクターデザイン・作画監督
・金山明博:『あしたのジョー』『超電磁マシーンボルテスV』『闘将ダイモス』作画監督
・鳥海永行:『科学忍者隊ガッチャマン』『しましまとらのしまじろう』総監督
・北原健雄:『新ルパン三世』キャラクターデザイン・作画監督

星さんに話を聞きたいとお願いしたのは、ずいぶん前のことになる。そのときは、自分はマニアではないという理由で断られた。その後も粘り続けたわたしに、星さんは根負けしたらしい。『伝説のアニメ職人(クリエーター)たち』の出版に合わせてならと了承されたが、その後も星さんの、自分の執着はモノではない、何を話せばいいのかわからない、という言葉は続いた。
コレクターもマニアも別に限定的な存在ではなく、多様な広がりを持っている。星さんの、自身を限定しようとする傾向はともかくとして、わたしは、星さんの話なら何でもいいという気持ちであった。

思い起こせば、わたしがそこまで粘ったのは、星さんのブログ「アニメに感謝」の中で、このインタビュー本にも登場する石黒昇氏の記事を読んだことがきっかけだったように思う。石黒氏は言わずと知れた『宇宙戦艦ヤマト』の監督だが、その氏が或る日、自分の手元の資料を箱詰めで星さんに送ったというのである。石黒氏は星さんのアニメインタビューを、これは将来大変な資料になると励まし続けたという。
日本中にアニメブームを巻き起こし、アニメの位置づけを根本的に変えた『宇宙戦艦ヤマト』。その監督が、手元のモノを託す相手、そのモノたちの持つ記憶を次代に残す相手として星さんを選んだということが、わたしの心に強い印象を残した。どうしても星さんに出てほしいという思いは、そのあたりからだったような気がするのである。

1999年5月、アニメインタビューを始める直前、星さんは一冊の本を出版した。
『図説テレビアニメ全書』(原書房 御園まこと名義)

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この序文で星さんは次のように書いている。
「どのようにして「テレビアニメ」は始まったのか。日本のテレビアニメは、それまでのアニメーションの歴史とは全く関係せず、突然出て来たものなのか。なぜ『ヤマト』や『ガンダム』は若者の心を摑んだのか。アニメ作家・宮崎駿のルーツはどこにあったのか。オリジナルビデオアニメがテレビアニメにもたらしたこととは何だったのか。そして、九〇年代最高のヒット作といわれる『新世紀エヴァンゲリオン』はなぜ生まれたのか……。これらの問いには、その歴史をひもとくことで答えが出るかもしれない」
この本は、前史といわれる東映長編アニメの時代から、テレビアニメ35年の歴史を俯瞰する。メカニックや特殊技法の変遷、作家論なども含め、すべての章が巨視的な展望のもとに配置されており、アニメ史を知る上で必読の教科書的な一冊となっている。
まさにこの俯瞰力、総合力が星まことなのだとわたしは思うが、また一方、星さんの興味は、常にその時代を生きた人々の姿に注がれている。個々の人々やモノから大きな歴史を構成してゆくのは星さんの一貫した姿勢である。

今回、モノを語るというこのブログの趣旨に合わせて、星さんはいろんなモノを持ってきてくれた。星さんの普段を知る人からは、あの専門家にこれほど基本的な話をさせたとはさすがド素人、と呆れられるだろうか。
だがアニメクリエーターたちの底力を、モノに即してこれほど端的に語れる人も稀だろう。アニメと共に生きてきた星さんの語りをここにそのまま残し、ブログ読者のご高覧に供したい。お楽しみあれ。