たかはしちこ(アップルBOXクリエート)/ マンガ復刻・同人誌 ⑯

今も続いているかは知らないが、かつて国文学未完資料の会というものがあった。埋もれた文献を発掘してきて翻刻し、仲間うちで配布する。
高橋さんの復刻を知ったとき、わたしはその会のことを思い出した。漫画はこの先、埋もれているものを営々と掘り起こす人たちの対象になってゆく。

「今は話題にもならないけれど、いつどうなるかわからないですよ。こうやって出してあれば、いずれ小さい出版社が手をつけてみようという気になるかもしれません」
この同人誌を資料として誰かが使うでしょう、と高橋さんは言う。

著作権は絶対に必要なものである。だが、次の時代の豊かな実りが前代の遺産の活用の上にあるならば、知的財産を資料として活用できるようどれだけ整備しうるかは、全く別の大きな課題であるだろう。
版権を独占する企業がしばしば情報を封印する中、現在、同人誌の世界がその任を担っている。

今回も形になった。高橋さんはほっとする。
生みだそうとする意志を形にして、ほんのつかの間の安堵を味わう。
いつかはきりをつけねばならない。だがもう少し、この場に居続けようと思っている。

趣味という旗印のもと、どれほど多くの無償の労力が世界を繋いでいることだろう。
誰もがいつかは去ってゆく。あとには巨大な山が残っている。

<了>