たかはしちこ(アップルBOXクリエート)/ マンガ復刻・同人誌 ⑮

高橋さんは今年69歳になる。
「六十代になったとき、これからは何があるかわからない年齢に突入したなと思いました」

体が動かなくなるかもしれない。自分がいつまでこれを出し続ける気力がもてるか、と考える。
だが、出せそうだと考えてすでに資料を集め終わっている作品が、今の時点で20~30点はあるという。

「もっと増えるかもしれません。そういうのをクリアして、もうやることたいしてないや、という状態で復刻は完結したい。自分で納得できるところまでいって、自分できりをつけられれば」
「あとは、自分の作品、毎年新作で2本くらいは出してますので、それを完結するところまでいければ、それが同人誌の決着ですねえ」

高橋さんの代表作「ミーコメタモルフォセス」は現在も展開中だ。男性にウケるよう描いていたものが、時間がたつにつれて本当に可愛くなってきた、と高橋さんは言う。
作家としての高橋さんは天性のストーリーテラーである。
「こういうのが描きたいな、というのがあって、描きたいシーンに向かってゆく。そのシーンに行けば結末まで一気に行ける。自分の考えたとおりのストーリー進行ができます」

知識と経験と能力と、人とのつながりと、他者に対する貢献と、いうなれば自分の全てがここにある。同人誌をつくるのは生きるということそのものだろう。
そういえば、どんな執念があってこれほど長く続けているのですかとわたしが訊いたとき、高橋さんはこう言った。
「別に執念というほどのこともないですよ。これは空気のようなもので」
いつもの穏やかな、淡々とした口調だった。
「吸っていなくては死んでしまう」