たかはしちこ(アップルBOXクリエート )/ マンガ復刻・同人誌 ⑭ 

この東浦美津夫が、先の春名とのコンビで講談社「少女クラブ」に舞台を変え、名前もトモ子とは別のスターを想起させるものにして、得意の悲しい少女の幸せさがしを描いたのが「どこに青い鳥」である。

意地悪なおばさんの手から逃れ、京都から上京したひづるは、実の母と再会した。だが、ダイヤのリボンの紛失を知って母は心労で入院する。弟まさみは悪者に狙われる。叔父は監禁されている。念願のダイヤを発見して喜んだのもつかの間、弟は事故で片足が不自由になってしまう。悪者はついに逮捕されたが、直後、叔父の失火で屋敷もダイヤも全焼し、母子は貧民街のその日暮らしに転落する。弟の足を治すため、ひづるは嫌いだった舞妓になろうと京都に戻った。だが、足を悲観した弟まさみが北海道に家出するや、連れ戻すため北海道へ飛ぶ。その飛行機には時限爆弾が仕掛けられていた。

この壮大なジェットコースターはまだまだ続き、北海道でひづるがサーカス団に加入したり、まさみがアイヌの秘宝に関わったりとめまぐるしい。ちょうどアイヌの少年少女をえがいた「コタンの口笛」が流行した頃だった。

これは本当に悲しいお話なのか。いや違う。
前半、不安な顔ですぐに泣いていた少女ひづるは、ダイヤをさがし、母を支え、弟を案じ、時折涙しながらも獅子奮迅の働きである。
戻った京都では舞妓としてライバルと舞台上で火花を散らす。北海道のサーカス団でも、舞台の急場を得意の舞で救って喝采を浴び、前半の泣き濡れる舞妓時代を完全に払拭する。
幼かった表情も徐々に大人びてゆき、無力を詫びる母親に「あたしたち、おやこじゃないの・・・幸福になれるまで みんなで力になりあっていこうと ちかったじゃないの」と言うひづるは、もはや完全に自分自身で運命を切り開いてゆく少女なのだ。

ラスト、経済状況も弟の足も実際の問題は何ひとつ解決していないが、親子は北海道から元気に東京へ戻ってゆく。アイヌの人たちとの生活で弟も精神的に強くなった。

「どこに青い鳥」を読んでいると、悲しい少女の幸せさがしの曲折の中、徐々にあの時代の最も良いもの、希望というものが、どうしようもなく溢れ出てくることに深く心を動かされる。
この作品はまさしく東浦美津夫が少女漫画に残した大きな贈り物にちがいない。だがこの、奔流のように読者を巻き込む希望の物語をそのまま体感させてくれるのは、現在、アップルboxクリエートが出版した100部の上下巻だけなのだ。

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