たかはしちこ (アップルBOXクリエート)/ マンガ復刻・同人誌 ⑪

最初はただ楽しさだけだったのだろう。
読者の懐かしいというコメントに励まされ、復刻の喜びはもっと単純で明瞭だっただろう。
だが長い年月のあいだ、出版をめぐるさまざまな荒波に揉まれる内、高橋さんは、復刻をなしうる条件というものに何度も何度も突き当たったのに違いない。中でも商業的な復刻の限界に対する認識は、高橋さんにとっておそらく決定的なものであったと思われる。

同人誌で、少部数で、版権所有者に許可を求めても復刻意図を理解されぬこともあるこの道、曖昧で不安定で時には誹謗中傷にさらされるこの細道こそが現時点、高橋さんの理想の復刻に通じる最も確かな道である。

そしてわたしは思うのだが、そのことを無意識的にも知ったとき、高橋さんは本当の意味で復刻というものに引きずり込まれたのではなかったか。
漫画史を熟知したこの目利きは、埋もれている数々の作品の価値を知っている。趣味だから続けられると高橋さんは言うが、それは、趣味だからこそやめる理由を持たない、趣味だから続けてゆくのだという覚悟の言葉のようにも聞こえる。