たかはしちこ(アップルBOXクリエート)/ マンガ復刻・同人誌 ⑩

「商業誌をつくりたいとは思いません」と高橋さんは断言する。

「出版社が復刻をやる時もあるんです。何作か出す。でも続かない。企業だとどうしても採算を考えなくちゃならないから」
勢いよく復刻を始め、企画を維持しきれなくなった例を高橋さんはいくつも見てきた。
「あれ、このごろ出ないな、と思うと、消えている」

かたや商業的にどんどん復刻を出しているところもある。だがそれは主に、確実に購買数を見込める作品だ。

アップルboxクリエートは、名高い作品を復刻することもあったが、他なら絶対に出さないような知る人ぞ知る作品もどんどん復刻してきた。
売れるものだけやればいいじゃないかと言われたこともあったという。だが「売れるものは、商業出版がやればいい」と高橋さんは言う。
「商業誌はかかるお金もけた違いなんですから。こちらは、売れないものでも読みたいひとはいるから捨てられないということでやる。個人でなければできない企画をやっているんです」

だが、個人でなくてはできない企画というのが理解されることは難しい。

「遺族に何年も前からアプローチして、最初は了承してくれていたのに、こちらが具体的な内容を言った途端、イメージとは違うからダメと言われたことがある。また別の遺族から、印税が出ないところはOKを出せないと言われたこともあります」

遺族は復刻といってどんなものをイメージしていたのだろう、と高橋さんは思う。この作品が商業的な出版物としてメジャーに刊行されることか。
高橋さんはわかりましたと言う。
そして、あとに言いたい言葉をぐっと飲み込む。
「ここで出さなければこの作品は残らない。数十年後、おそらく、何もなくなる」

世に出してくれるなら自分以外がやってもいいのだと高橋さんは言う。
「むしろ、こっちが協力したいくらいです」