たかはしちこ(アップルBOXクリエート) / マンガ復刻・同人誌 ⑧

「誰もこちらが出血しながら続けているとは思わない。でもこれは商売じゃない。趣味なんです。趣味は楽しむためのもの、だから損して当たり前なんですよ」

だが、頭を下げ、赤字を出し、常に版権の弱者としてぎりぎりのところに立ちながら、誰が趣味といって平然と血を流し続けるだろうか。損して当たり前といってそれを数十年続けるひとがいるだろうか。
高橋さんの穏やかで醒めた態度とやっていることの激しさとには抜きがたいギャップがあったが、当の高橋さんはそのことに全く気づいていないようだった。このギャップが、損得を金銭で考えがちな世間に、やっぱり儲かっているんだろうという推測をさせるのであるかもしれなかった。

おそらく、最初はほんとうに世間の趣味の域におさまるものだったのだろう。楽しくて、面白く、読者も喜んでくれた。
だが長年の活動のあいだ、高橋さんの「趣味」という言葉は徐々に世間一般の用法から遠ざかり始めていったように思われる。
それはいつのまにか、もっと能動的で限定的な、或る不可侵の領域の表現として研がれていったのではなかったか。