今入重一 / 横山光輝作品 ⑬

高橋誓氏によるアップルBOXクリエートは、特に昭和30~40年代の漫画作品の精力的な復刻で知られ、その分野の大御所的存在となっている。ここで復刻された横山作品の充実ぶりには目を見張るものがある。
「横山光輝名作集」全51巻及び別冊5巻。

まんだらけマニア館の国澤氏は、今入さんをインタビューして次のように述べている。
「横山先生自身が全集の発行は固辞されていたということは広く知られていますが、クラスの作家の商業出版の補完的意味を持つ作品群をシリーズ化して自費出版で発行したというのは日本のマンガ出版史上で見ても希有なケースです」(2017年資料性博覧会パンフレット)

このアップルBOXクリエートと横山光輝との繋ぎ役を果たしたのが今入さんだった。先のインタビューでの今入さんの言葉を引用しよう。

「今でこそ未単行本化作品が出版される時代になりましたが、あの当時は先生もそういった作品を本にはしないという考えだったようです。復刻の了承がいただけるのは原稿の存在しない作品という条件付きです。さらに○○と××と□□は駄目ですよと最初に釘をさされたのはありますけどね」

「印刷と編集にかかる費用は2017年現在よりも遙かに高額で大変でしたが、結果的に横山光輝名作集が復刻活動の柱になったおかげで、アップルBOXクリエートが様々な作家の復刻へと乗り出していく原動力にもなっていったはずです」

このシリーズは、光プロ(横山光輝プロダクション)未所持の作も含んでおり、横山作品の抜けや漏れを埋めるものとしてプロダクション側からも高く評価されているという。
長きにわたり多産であった巨大な作家の全容をつかむのは難しい。復刻は、作品の普及と同時に、今後の横山研究の理想的な環境を生み出す基礎的文献の整備でもある。
今入さんは自分のコレクションから復刻用の原稿を提供するかたわら、マンガ家本人との間に入り、その仲立ちをしつづけた。

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