延藤直紀(CCP代表)/ フィギュア制作⑮

結局のところ、モノをつくるとは仕事をつくることで、仕事をつくることがモノをつくることだった。それはすなわち、未来に向けて前のめりで新しい価値は何かと問い続けることだった。

延藤さんは言う。

「最初にキン肉マンをつくったとき、そんなモノ売れないという声もあった。売れてもせいぜい300個くらいじゃないかと言われたんです。でもそれを押し切って出して1000売れた。あそこで負けていたら1000はなかった」

何に負けるのか。否定する人に負けるのか。
いや、おそらくは、自分の中の不安、これで良いのかためらいひるむ心と戦っている。

版権は常にきびしく、写実はダメになるかもしれない。
可動は大手に封じられている。
それでも生き残る道はある。
勝機は必ず潜んでいる。

次の価値は時代の空気の中、人々のまだ見ぬ頭の中に在る。そのイメージに目を凝らし、現実の世界に引きずり出す。

あの日、ワンダーフェスティバルで、おもちゃが大人の世界の中央に立っていた。

そのとき、子供時代から続く古いおもちゃ観が破れ、魂が震えた。
まるでその存在が天から落ちてきたように。

あの日から延藤さんにとっておもちゃとは、世界を塗り変える新しい価値のことだった。

おもちゃを仕事にして生きてゆく。

諦めない。

このリングに立ち続けるため、倒されても前へ向かってゆく。