延藤直紀(CCP代表)/ フィギュア制作⑩

CCPがこの7年間続けているプロジェクトに、CMCというシリーズがある。「CCP・マスキュラー・コレクション」の略で、「もし超人が実在したら?」というコンセプトのキン肉マンフィギュアシリーズだ。

「明日からゆでたまご先生と東南アジアにイベントに行くんですよ」
インタビュー当日、延藤さんはその準備にかかりきりのようだった。
現地でキン肉マンの作者を招いての格闘技のイベントがあり、そこにCCPも卓を出して商品を売るのだという。わたしはどうもえらく忙しい時に行ってしまったらしい。

平成29年、肉の年、「キン肉マン」関連イベントが活況をみせている。「ジャンププラス」では新しい連載もスタートした。この偉大な作品をめぐって、ひとびとは素敵な祝祭を楽しんでいる。

CCPのキン肉マン。

 

 

表情は漫画のキン肉マンそのもの、だが体は筋骨がりゅうりゅうと盛り上がり最高にリアルだ。

顔はキン肉マン。だが肉体は圧倒的なリアル。

でも「二次元を単に三次元に立体化したとき、これはキン肉マンじゃないといわれる可能性もある」と延藤さんは言う。
絵を単純に立体に置き換えるのではダメなのだという。

我ながらまったく素人じみているのだけれど、わたしは今までそんなふうにモノを見たことがなかった。平面のリアルと立体のリアルが違うという当たり前のことに、わたしはそのとき初めて気がついた。

確かに、迫力ある絵には、現実とはミリ単位違う描き手固有の仕掛けが、細心かつ巧妙に仕組まれているはずだ。たとえば現実には見えないはずの死角の部分をちらりと描き込むとか、画力のある描き手なら、必ずカッコよく見せるための、現実を超えた独自の工夫があるだろう。

しかもこれは格闘をえがいて人を魅了し続けてきた漫画なのだ。当然、特有の設定もある。

それを迫力ある立体として出現させるには、全く別の造形の論理、全く別の仕掛けがどうしても必要なはずだった。

そうか、とド素人のわたしはそこで初めて思い至る。
ウルトラマンやスペクトルマンには特撮としての映像がある。でもマンガなどの二次元表現をフィギュアにするのは、ぜんぜん別の作業なのか。