延藤直紀(CCP代表)/ フィギュア制作 ⑨

ソフトビニール人形は、まず原型から蝋型を成形し、メッキを施して金型をつくる。そこに塩化ビニールを入れて加熱し、固化させて取り出す。
比較的安価に或る程度の数を量産できるが、薄いものなどの成形は難しいとされる。そこは作り手の腕が如実にあらわれる。

人がいわゆるレトロな味わいのおもちゃを語る場合、ブリキなどの金物でなければ主にこのソフビ(塩化ビニル)素材を指している。どこか寸法がゆるんだ感じの、昭和な雰囲気をただよわせる懐かしいソフビ人形たち・ ・・。
だが天才原型師の出現が、この素材の可能性を一気に押し広げた。CCPがうしお氏を瞠目させる克明な写実でデビューしたのも、この素材でだった。

以後、CCPは、さまざまな素材を使いながら、基本的にソフトビニールを軸として、きわめて高度かつ繊細な作品を世に送り出してきた。

昨今3Dプリンタが開発され、撮った画像そのままの立体的な再現が可能になった。現時点でまだ課題は残すものの、既に実用化され、今後さらに進むと見られている。

コンピュータの力で画像を三次元に変換する、その克明な再現性は、圧倒的な写実を得意としてきた玩具メーカーへのまぎれもない脅威として控えている。

「写実でダメならデフォルメをやる」と延藤さんは言う。
「リアルなものへの感動や共感がダメになったとしても、いずれ時代はまた変わる。とにかく時代の空気を、客の頭の中を読むことだ」

そのための模索がずっと続いている。