延藤直紀(CCP代表)/  フィギュア制作⑤

「自分はアーティストじゃない」と延藤さんは言う。

「仕事というのは現実のことで、それで食べられるかどうかが問題だ。現物を作っても売れなければ話にならない。商売にならなければ次が作れない。原型師、彩色師、いろんな作家に仕事をまわすこともできない」

アーティストじゃない。テーマや構図を考え、それぞれの原型師さんの特性を把握して 誰に発注するかを考える。原型師さんと相談しながら決めることもある。納期を定め、工程や品質を管理し、材料費、人件費、送料もろもろを計算し、すべてを統括する。

CCP制作のフィギュアがぎっしり並ぶ応接室で「どれがいちばんお気に入りですか?」とわたしは訊く。

延藤さんは答える。

「決められないですね。どれも甲乙つけがたい」

わたしは思う。
その言葉はこう言っている。

・・・自分の好みというのは意味がない。

売れなくては意味がない。売れなければ次のモノがつくれない。

延藤さんは考える。

「自分ではなく、客の見ている風景は何か」