延藤直紀(CCP代表)/ フィギュア制作④

延藤さんはひとつのフィギュアに目を奪われた。
それは或る天才原型師の制作したソフビ人形「帰ってきたウルトラマン」だった。

もともとおもちゃが好きだった。子供時代からウルトラマンや仮面ライダー、ジャンボマシンダーなどのおもちゃにかこまれて育ち、東京に出たらその熱が再発して、おもちゃは身近なものだった。

だがそのフィギュアを見たときの衝撃は大きかった。

延藤さんは言う。

「自分はずっと、おもちゃは子供のモノだと思っていた。それまでおもちゃが好きだと言うと、子供だといってバカにされるのが普通だった。でもそこに在ったのは、完全に大人の世界だった」

当時、村上隆が、等身大フィギュア等をさかんにワンフェスに出品し出していた頃だ。
おもちゃや造型の概念そのものが大きく胎動していた熱い時代だった。
その場所に、世界観を塗り変える圧倒的なウルトラマンが存在した。

これをやろう、と延藤さんは思った。

大人としてこの世界で食ってゆく。

自分自身でこれを発信する側にまわる、それは趣味や憧れの次元でなく、今後の身の振り方として浮かんできたのだった。