堤哲哉 / 仮面ライダーカード⑭

いま、堤さんは振り返って言う。
「この歳月、紙モノの価値を上げるための戦いだった」

「なんでも鑑定団」での14局46番、あれは堤さんの体系化の完成であり、また同時に、仮面ライダーカードの価値をめぐる、世間に対する挑戦の始まりでもあった。
何しろ紙モノの値が低すぎた。
まとめて幾らで売られるカードたち。
ブリキのおもちゃや超合金などは以前から高額だったが、紙モノのコレクターでそんなに金を払う人間はいなかった。
「カードやブロマイドに値段をつけよう、ってのが当時の目標だった」

安価でいいじゃないか、ということではなかった。
そのモノの価値を低く見られるということは、それらを知られざるまま闇に葬ってしまうことにつながっていた。人目をひく値段をつけて、埋もれている品を表舞台に引きずり出すことが必要だった。このはかなくいじらしいカードたちに値を与えること、正当な権利を与えて歴史に残るものとすること、堤さんのやろうとしたのはそのための戦いだった。

「高くしたと批判する人もいたけれど、高くしないと価値観として人に認知されないでしょう。値段をつけることによってそのモノがおもてに出てくる。世の中に残る」
「どうしても見つからなかった14局の46番、あれは10万円という値段があったから出てきたんですよ」

けっきょくのところ、その値段は堤さんの予想を超えて上がった。
14局46番の値は直後に100万円に跳ね上がり、20年という時を経てもその値段は変わっていない。そしていまも、数十万円をものともせず、日々レアカードを探し回っているマニアたちがいる。堤さんは思う。いま1枚150万でも払う人がいるのはこの10万円があったからなのだ、と。

14局46番。すべてがこの1枚から始まった。
仮面ライダーカードの価値をめぐる戦い。
世に残すために値をつけるのだ。
ライダーカードの存在が、歴史に埋もれてしまわぬように。