佐々木大(仮名)/プロ野球サイン⑮

さて、佐々木さんがサインを貰う現場に戻ろう。

トラブルは日常茶飯事、予定通りになど進まない。

いきがる奴、割り込む奴、暴動寸前も何度もある。警備員はいない。選手は完全プライベート。

その中での一瞬の接触。

声をかけ、カードとペンを差し出す。
(あなたの魂を入れてください)

佐々木さんは言う。
「サインをもらう瞬間、在るのは生身の選手と自分だけ」

存在するのはそれだけ。


<この項、了>