佐々木大(仮名)/プロ野球サイン④

そのうち、サインカードがほしくなってきた。
だいたい2000年頃だったろう。
野球カードはそれぞれの選手の写真が入っているから、見て楽しいし、貰ってみんな喜ぶ。

 
とにかくまずは昔ながらのサインゲッターにサインのもらい方を教わるところからスタートした。たとえば選手の移動中待っていて、「~さん、サインください!」と言ったりするようなことだ。

そういうのは正直、自分だけでは難しい。人との協力が必須だが、佐々木さんの稀有な能力は、そういう人間関係をつくるのが異様に早いことだった。またたくまに仲間に声かけして、ネットワークをつくりあげた。

「けちけちしたことはしないんです」と佐々木さん。
「自分だけがいい思いをしようとは思わない。自分がめだちたいタイプもいるけど、自分の存在を目立たせようというのはぼくにはない」

どれだけお金を積むよりも、人とのつながりで何かやるほうがカッコいい、と佐々木さんは言う。
「ぼくは最初から、サインやチケットを金銭でなんとかしようとは思わなかった」

課金でクリアするなんてつまらない。
知恵をしぼり、手間暇をかけ、きっちり獲って帰るのだ。みんなハッピーというハードル付きで。