佐々木大(仮名)/ プロ野球サイン③

佐々木さんは大人になるまで野球と無縁で過ごしてきた。

子供時代は利根川でトンボを追っかけて遊び、大きくなってからは女の子と遊ぶのが大好きだった。
あるとき、つきあった女の子がジャイアンツファンで、東京ドームに巨人戦を見に行こうよと誘われた。野球を見るなら外野のほうが面白いよ。そう言われるがままにライトの外野席へ行き始めたのが、90年代後半のことだった。

初めて見るなまの試合は印象深いものだったが、とりわけ惹きつけられたのは投げ入れボールだった。
毎試合1回のおもて、守備につくジャイアンツの選手たちが客席に自分のサインボールを投げ入れる。それをみんなが競い合って獲る。
持っている人を見て、佐々木さんは無性にうらやましくなってきた。

投げ入れボールはなかなか獲れない。特に佐々木さんは我ながら獲るのがヘタだった。センターのローズがいつも54通路のほぼ決まった位置に投げる。それを狙ってそちらの席に座り、なんとかゲットするようになった。
それがサインを手にした始まりだ。



(・・・・本日、巨人自力優勝消滅。)