はじめに/ 自己紹介

マニアの妻として生きてきました。 
親兄弟からは不憫そうな目で見られる。
まともな暮らしじゃないとけなされる。
旅行には必ずレア物探しがついてくる。
カードをはがしたポテトチップスを何ヶ月間も食べ続ける。
振り返れば確かに日常生活としては、ほぼマイナスしかなかった、と断言できます。   子供もおらず、諸事おおざっぱな性格なので、他とは比較のしようもないのですが、とにかく家が狭いのには参り […]

堤哲哉 / プロフィール

モノガタリは、2016年11月30日(水)から始まります。 ものがたる一人目は 堤 哲哉 1960年東京生まれの埼玉育ち 東京デザイナー学院卒業。特撮研究家、ライター。 敬愛する東映プロデューサー・平山亨氏製作の「仮面ライダー」など、主に昭和の特撮、アニメ作品関連の記事を執筆する。えむぱい屋代表。 小学生時代に仮面ライダーカードの収集に熱中。 大人になって収集を再開、同人誌を経て1993年、著書「 […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード①

2016年9月 久しぶりに会った堤さんはずいぶん痩せていた。入院、手術の話は聞いていたが、大病から生還した人という様子を漂わせている。 三連休の中日で人出はすごい。しかも雨天。雨が降ると手術痕がひっつれるような感じがするらしく、堤さんは始終胸元をさすっていた。 ・・・本日はご足労いただいて、すみません。 「いえ、もう三ヶ月も経ってるんでね。家にばかりひきこもっていたからそろそろ外に出なくちゃ。きょ […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード ②

ここで、あまりにも有名な仮面ライダーカードの基礎知識を、少しおさらいしておきたい。 仮面ライダーカードとは、1971年カルビーが売り出した仮面ライダースナックに、1枚ずつ付けられていたカードである。子供たちに大流行していた仮面ライダーの写真がおもてに載り、裏面に解説が書いてある。カードには通し番号がついていて、当時、1~546番まで発行された。 テレビ放映と並行した販売拡充などに応じ、カードは何度 […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード③

堤さんはあのとき推理していた。 みんなが血眼になって探しているのに現れない14局46番。それはきっとラッキーカードなのだろう、と。 この推測には理由があった。 当時、14局46番同様出てきにくいカードとして、14局41番があった。 「41番がラッキーカードだというのはわかってたんですよ。発売されたTVシリーズのライダーLDボックスの特典に、当時のCM映像が入っていて、そこに41番が映っているのはコ […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード④

「開運!なんでも鑑定団」 この名前を覚えていらっしゃるかたは多いだろう。身近なお宝を鑑定して値付けするという番組で、今まで必ずしもお宝とは見なされていなかったさまざまな品に値段がつく、その驚きと物珍しさが人を惹きつけた。 ブリキのおもちゃコレクションで有名な北原照久氏もこの番組に出演している。 当時既にライダーカードの研究者として知られていた堤さんに、この番組からお呼びがかかったのだ。 何かを探す […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード⑤

堤さんはテレビを通して全国に呼びかけた。 「仮面ライダーカード、14局46番を探しています。持ってきてくださったら10万円で買います」 カード1枚に10万円。 それは当時およそ信じられない法外な値段だった。 堤さんは語る。カードやブロマイド、いわゆる紙モノはコレクション関係では安かった。 「今から30年前、ぼくが23~24歳くらいの頃、よく下北沢のなつかし屋とかオムライスとかヒーローズとかに行って […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード⑥

だが堤さんは、そのとき別のことでもドキドキしていた。 14局41番を持参してくれたひとりが、アルバムに他の珍しいカードもいっぱい入れていて、そちらも買い取りたくてしょうがなかったからだ。   ドキドキするのはさらに理由があった。 相手がカードを入れていたのが、よりによって例の仮面ライダーアルバムの中でも、最もレアでいわくつきのビニール仕様のものだったのである。そこに入れておくと、カードが […]

堤哲哉/ 仮面ライダーカード⑦

ここで、このときの堤さんの立ち位置を知るために、仮面ライダーカードの研究史を少々振り返っておこう。 最初期のバイブルとされた同人誌が、いまわたしの手元にある。   「レッツGO!ライダーカード」 奥付を見ると昭和60年(1985年)、300部限定。 発行は東映作品研究会。責任者は岡山の藤井政志氏。 これは1~546番までのライダーカードすべて、おもての写真と裏の解説文のコピーを載せた初め […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード ⑧

「レッツGO!ライダーカード」の後、1986年、講談社が「仮面ライダー怪人大全集」を出版した。メジャー誌で仮面ライダーカード全体が紹介された最初の本であったことは、言っておかなくてはならない。 546枚のカードが白黒で並べられ、解説の要旨が載せられた。 だがそのとき、堤さんやその周囲のマニアたちは、ちっとも嬉しくなかった。 この本のカードを紹介する内容の質に、満足がいかなかったからだ。

堤哲哉 / 仮面ライダーカード ⑨

堤さんは言う。 「ぼくは子供のとき、ライダーカード1~546を通すのにあと2枚というところまで漕ぎつけていたんですよ。ただ508と545を持ってなかった」 「専門学校に通っていたとき、やっぱり仮面ライダーカード好きの奴がいて、かれがアルバムに545を持っていた。そのとき545を初めて見た。親切に彼が譲ってくれたので、残りあと1枚となって、下北沢のヒーローズに行った。500番台が3枚だけ出ていて、そ […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード⑩

1993年、堤さんは、日本文芸社から主著「仮面ライダーカード」を刊行した。同人誌の内容を改めて世に問うて、一般読者への普及を意識した一冊であった。 この中で堤さんは、1~546番のカードをカラーで並べ、ライダーカード弾数表というものを付けて、旧カードの14局、25局、明朝、ゴシック、そして新カード、という区別を明確に立てた。 また、同一番号異種カードに正面から取り組んで、おもての写真の図版違い、ト […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード⑪

そして「なんでも鑑定団」の時が来た。   「仮面ライダーカードの14局46番を探しています。 持ってきてくれたら10万円で買います」   14局という言葉は一般の視聴者にはわからない。堤さんは「鑑定団」でこまかく説明した。 ライダーカードを分類して、14局や25局という秩序を打ち立てたのは堤さんだった。14局46番が出てこない、そもそもその欠損の概念そのものを提出したのが堤さん […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード ⑫

堤さんは語る。   「41番はライダーの正面向いた上半身の写真で、すごくカッコいいでしょう。これはカルビーに送ってアルバムと交換するより、手元に残しておきたいと思う子が結構いたんじゃないか。だから少ないながらも残っている。 でも46番はこんな絵柄でしょう。子供だったら躊躇なく送っちゃったんじゃないかな」       46番、41番 46番は宙返りする仮面ライダーの写真だが、ちびっこ心に訴 […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード⑬

「14局46番、ぼくはその10年後に20万で買ったよ」 その日同席していた亭主が、横からひょいと口を出した。 「ソッコーで50万で売ったけど」 ・・・売ったのか!おまえはァ! わたしは思わず声を上げた。 「だって堤さんが持ってるからいいかなあと思って」 ・・・ううーむ。 家計的には完全に正しい判断だが、この場で聞くと若干忸怩たる思いもするのが我ながら恐ろしい。 しかしあの「なんでも鑑定団」以降、カ […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード⑭

いま、堤さんは振り返って言う。 「この歳月、紙モノの価値を上げるための戦いだった」 「なんでも鑑定団」での14局46番、あれは堤さんの体系化の完成であり、また同時に、仮面ライダーカードの価値をめぐる、世間に対する挑戦の始まりでもあった。 何しろ紙モノの値が低すぎた。 まとめて幾らで売られるカードたち。 ブリキのおもちゃや超合金などは以前から高額だったが、紙モノのコレクターでそんなに金を払う人間はい […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード⑮

現在、わたしの亭主の持ち歩き用ファイルには、14局46番の偽カードが入っているらしい。おもても裏もカラーコピー。それを実際のライダーカードの両面を剥がした厚紙と貼り合わせてつくった、いかがわしさ満点の代物である。 「オリジナルカードと呼んでね」と亭主。 ・・・この馬鹿もんが。 「これをどこかのショップに万置きしてこようかって盛り上がったことがあったなあ」 ・・・万引きじゃなくて? 「逆、逆。こっそ […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード⑯

エラーカードは、主に印刷の間違いで生じる。 裏が印字されずに真っ白なもの、裏に別の番号が入ってしまっているもの、おもてに対して裏がさかさまなもの、両面におもてが印刷されているもの。 おもてが写真、うらが真っ白で何も書かれていない。そういう仮面ライダーカードは、単なる印刷ミスでない場合がある。コーティングがないタイプのライダーカードは、印刷を消しゴムで消せてしまうからだ。 堤さんも図らずも作ってしま […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード⑰

堤さんの子供時代・・・   とにかく仮面ライダーカードが好きだった。   小5か6のとき、カードが発売された最初のころ、友達と三人くらいでひと箱買った。そこは若干恵まれた子供だったかもしれない。ダンボールひと箱分のスナックをかかえ、どうやって処分しようか困って、そっと線路際に捨てた。いま考えたらもったいない話だ。そのとき雪が降りしきっていたのを覚えている。 捨てながら帰ったのを […]

堤哲哉 / 仮面ライダーカード⑱

どうしてこれほどライダーカードに夢中になったのか。堤さんの本「仮面ライダーカード」(1993 日本文芸社)の序文には、その理由にふれた文章が見える。   < もちろん「仮面ライダー」という番組自体が持っていた魅力がひとつ・・そしてもうひとつ、それまでの子供向けの商品に見られなかった、通し番号によるコレクション性も忘れてはいけない。さらには、そのカードの持つ情報性・・・テレビ放映に先行する […]